会員紹介
昭和38(1963)年に空びん回収業として創業した北秋容器株式会社(以下、北秋容器)は、「捨てればゴミ、生かせば資源」をモットーに、リサイクル資材としてスーパーソル(多孔質軽量資材)、木質ペレット、木質バイオマスチップの製造・販売をしています。
木質バイオマス利用促進部会の部会長を務める北秋容器の統括部長、松山孝太さんにお話をうかがいます。
―北秋容器の取り組みについて教えてください。
松山さん もとは、洗びん業として社長1人で立ち上げた会社でした。空びんを回収・洗浄して販売していたのですが、割れてしまった瓶も再利用したいと考え、ガラスを細かく砕き、添加剤を入れて焼いて「スーパーソル」という資材の製造を始めました。軽くて水はけの良い資材で、土木、建築、農業など幅広い用途で使われています。
さらに、未利用間伐材や製材工場残材ずの有効活用にも取り組み、木質ペレットや木質バイオマスチップの製造を始めました。
ペレットは、製材工場からでる木くず・おが粉等の含水率を調整し、圧縮整形して作ります。表面がツヤツヤしているのは木に含まれているリグニンという成分で、この成分があるから接着剤がなくても固まります。
バイオマスチップは、未利用間伐材を原料として、細かく切削して作ります。ペレットは約10年前から、バイオマスチップは約5年前から製造開始しました。
また、ペレットストーブは、石油ストーブと比べると手間がかかります。当社でもペレットストーブを使っていますが、1日に使うペレットの量がだいたい11〜12kgほどで、それをストーブの上部にある口から入れなければならないので、ちょっとした力作業になります。また、燃えた後の灰を掃除する必要もあります。
―協議会メンバーとして、事業への思いを聞かせてください。
松山さん 今年はコロナの影響で、一時期は製材所が止まってしまっておが粉が入ってこなかったため、ペレット製造が続けられるか不安もありました。
大変なこともありますが、非常時は、生活のあり方を見直す機会でもあります。東日本大震災は、原発ありきの電力供給について考え直すきっかけとなりました。今は、世界的に脱炭素化への取り組みが必要とされています。石油燃料に替わる新たな燃料として、木材由来の燃料へとうまくシフトしていければと思います。
社長はいつも「リサイクルの会社は儲からない」と笑いますが、それでも「誰かがやる前に先にやる」が当社のモットーです。循環可能なエネルギー資源として、木質ペレットやバイオマスチップの普及に貢献できればと考えています。
―ありがとうございました!
―取材を終えて
木材から作った燃料を使うことで、木を伐って使ってまた植えるという循環を作ることができます。また、木は成長する過程で光合成をして二酸化炭素を取り込むため、地球温暖化抑制の効果もあります。2030年にガソリン車の販売が禁止されるように、いつか、石油ストーブが使えなくなって、木の燃料が主流になる時代が来るのだと思います。時代に先駆けて木質燃料の普及に取り組むことは、苦労の多い大変なことだと思いますが、とても重要な取り組みなのだと感じました。