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会員紹介

株式会社石川組
(写真提供:(株)石川組)
 (株)石川組(以下、石川組)は、土木工事、建築工事、グループ会社による砕石業、そして林業を幅広く手がける建設会社です。企業の枠を越えて協力し合いながら、地域の林業活性化に取り組んでおり、平成30年には経済産業省の「地域未来牽引企業」に選定されました。
 「林野庁が林業成長産業化地域創出モデル事業を始める」という情報を木材流通業者からいち早く聞きつけ、大館北秋田地域でモデル事業へ応募することを後押ししたのは、石川組社長・島崎祐男さんでした。協議会では再造林推進部会の副部会長を務める石川組・島崎さんに、お話をうかがいます。
左が島崎祐男社長、右が総務部課長の成田勝さん
―協議会の中で、トップクラスの素材生産量(丸太の生産量)だと聞きました。
 
島崎さん 素材生産の一連の流れは、伐採して→丸太にして→売るという工程で、通常は一つの仕事を終えると下請けとの関係も一旦終了します。うちでは、一つの仕事をしている間に別の林の買い付けを行い、下請けとさよならせずに次の伐採をスタートするサイクルを作りました。協力会社6社、総勢50人のスタッフで、伐採を行なっています。
いい林を見分けることができるカリスマ的な人がいるので、その人と一緒に山を見に行って、仕入れをするんですよ。
 
―再造林への取り組みについて教えてください。
 
島崎さん 伐採の仕事を請け負ったあと、そこが良い土地だったら苗を植えます。うちは森林経営計画の認定を受けていて、造林に関する補助金がもらえるので、それを活用して積極的に再造林しています。森林経営計画の申請、補助金の手続きなど膨大な事務作業は、成田さんが一手に引き受けてくれます。
 
木を植えるのは、山ばかりじゃないんですよ。私のモットーは「米や野菜を育てるように木を育てよう」なんです。例えば、農地だったけれど継ぐ人がいなくて荒地になっている土地を買い取って、そこに木を植えれば、わざわざ山に入っていかなくても手入れができるし運び出すのも簡単です。持ち主も助かるし、国土保全にもなります。
 
―かなり斬新な考えですね!!
(写真提供:(株)石川組)
―伐採・再造林・保育を推進していくために工夫していることはありますか?
 
島崎さん 従業員が3〜4年で全ての作業を覚えられるように教育しています。
1年目…チェーンソーをマスターする。
2年目…積み込みの機械を扱って、木の伐り方を学ぶ(伐採した木の状態によって用途を判断し、丸太の長さを判断する)。
3年目…プロセッサーを使って丸太にする。
このように段階を経て、1人で全ての作業ができるようにすることで、誰かが休んだために作業が止まってしまうという事態を避けることができます。1日に運び出せる木材の量は決まっているので、これは大事なことなんですよ。

また、再造林の作業もですが、一番キツイのは保育作業(草刈りなど)で、こういった作業を全員で一気に終わらせるようにします。少人数で長い時間かけて延々と作業するよりも、皆で発破をかけ合いながらやったほうが、連帯感も生まれていいチーム作りにもなります。
(写真提供:(株)石川組)
(写真提供:(株)石川組)
―協議会の活動は4年目ですが、今後の取り組みについて教えてください。
 
島崎さん 川上で伐採・再造林を頑張るだけでなく、川下で木材を使う動きが必要です。木造の公共建築物をもっと建てて、官民一体となって、川上から川下へ循環する流れを作っていけたらいいと思います。今は、大館北秋田の木材を東京など中央へ出荷していますが、地産地消も一緒に進めたいですね。そのほか、岩手県や九州では、木材の生産・流通・加工に関わる業者が再造林に取り組む機構を立ち上げ、基金を設けて再造林を推進する取り組みをしています。このような先進例を参考にできたらいいのではないかと思います。
―最後に、会員の皆さんへのメッセージをお願いします。
 
島崎さん 林業成長産業化地域に選定され、大館市役所には林政課が誕生し、林業の活性化を更に進める土台ができてきました。5年間の事業の折り返し地点を過ぎて、川上から川下への循環の輪が1回は回った状態です。でも、まだまだ、素材生産者と木材加工業者と工務店・利用者がうまく繋がっていない状態です。これまでの取り組みにさらに肉付けをして、川上から川下へ、力を合わせて循環の輪の骨格を太くしていけたら良いと考えています。積極的に動いてきた地域が、生き残っていけるようにしたいですね。
 
―ありがとうございました!
この記事を書いたライター 島田 真紀子(mamaplan所属)https://mamaplanodate.net/
有限会社無明舎出版勤務を経て、フリーライターとして雑誌やWEBの記事を執筆。
秋田県内を中心に、観光・食・子育て・スポーツ・話題のスポットなどについて発信しています。

―取材を終えて
島崎さんの話で印象に残ったのが、チーム作りの話でした。「山に入って、キツイ作業で手を抜いている人がいたら、『サボらねぇで頑張れ!』ってバシッと背中叩いて発破をかけられるか、言えないで不満をためてしまうかで、チームの雰囲気がガラッと変わります。」
責任を持って作業にあたること、チームの連帯感、そして効率よく利益を上げること。長いこと現場で働いてきた島崎さんの経験に裏打ちされた視点が、石川組の強みであり、このようなパワフルな会社が現場から林業の活気を作っていくのだと感じました。
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