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会員紹介

有限会社畠山造林
(有)畠山造林の佐藤大祐(だいすけ)さんと千絵美(ちえみ)さん
昭和57年(1982)創業の(有)畠山造林は、主に比内地域の山を管理し、木の伐採と再造林を行っています。木材の年間出荷量は約2万立方メートル、うち3割をチップ用材として販売しています。新技術に関する講習会に積極的に参加して学び、自社や地域の林業について真剣に取り組んでおられる佐藤さんご夫婦にお話をうかがいます。

―普段、どのような仕事をしていますか?
 
大祐さん 自分はほとんど現場です。木を伐る作業や、伐った後に苗を植える作業、時に重機も扱います。

千絵美さん 私は事務作業がメインです。今はほとんど事務所にいます。

大祐さん 妻には、そのうち現場にも出て欲しいなと思っています。力仕事以外にも、苗木の仕分けや写真撮影といった補助的な作業がたくさんあるし、現場を見て、現場で働く人の気持ちをわかる事務員になってもらえたらいいなと思います。

千絵美さん 頑張ります!(笑)
チェーンソーでの伐倒作業 写真提供:(有)畠山造林
―林業のいいところは、どんなところだと思いますか?
 
大祐さん 自然と向き合えるところです。相手が自然なので、とても開放的な気持ちになります。一度やったら、もう辞められないですね〜。
 
―逆に、大変だなと思うことはありますか?
 
大祐さん 体力仕事だということと、自然が相手なので天気に左右されること。そして、危険を伴う仕事でもあります。
 
―お二人は積極的に講習会に参加されていると聞きました。
 
大祐さん 最近は機械化が進んで、どんどん新しい機械やソフトが出てくるので、講習会に参加して「使えるな」と思ったものは導入していこうと思っています。自分はパソコンが苦手なので、パソコンに絡むことは妻にサポートしてもらっています。

千絵美さん 最近、導入して良かったと思ったのはQGISというソフトです。GPSと地図を組み合わせて、作業をする場所のデータをパソコンで処理して位置情報に入れることができます。これ(GPS)を持って山に入ると、自分が今いる位置や、どの木を伐ったらいいのかが一眼で分かります。

大祐さん これは本当に便利で、山を知り尽くしているベテランに「今、どこにいる?」と聞かれてGPSを見せた時は嬉しかったです(笑)。これがあれば、入社したばかりの人もベテランも同じ作業をすることができます。次はどんな機械があるんだろうと思いながら、毎回楽しく講習会に参加しています。
毎日行っている朝礼。コミュニケーションはとても大事! 写真提供:(有)畠山造林
―今、課題だと感じていることはありますか?
 
大祐さん 人手不足ですね。木を伐採して出す生産分野は機械化が進んできていますが、植えて育てるという造林分野は体力勝負なこともあって、どうしても敬遠されがちです。今、木が適齢期を迎えてどんどん伐採することができますが、それは、これまで林を守ってきた人たちのおかげなんです。誰も造林しなければ、めちゃくちゃな林になっていい木は育ちません。自分たちがきちんと管理して、次の世代の人たちにバトンタッチできるようにしたいと考えています。
 木質バイオマス発電などに用途が広がって木が無駄なく使えるようになり、最近は山に残材がなく全て使いきっている状態です。国の補助金のおかげで需要は盛り上がっています。造林のほうの人手不足を解消していけたらと思います。
高性能林業機械による伐採作業 写真提供:(有)畠山造林
―この仕事の魅力を教えてください。
 
大祐さん 林業の最大の魅力は、残業がないことですね! 暗くなったら仕事は終わりです。

千絵美さん 毎日早く帰ってきて子どもと遊んでくれるので、助かっています(笑)

大祐さん どんな仕事も同じだと思いますが、最初の3ヶ月はしんどかったです。チェーンソーがものすごく重く感じて、「みんな、なんでこんな重いもの持って山を歩けるんだろう」と思っていました。今はもう余裕ですけどね(笑)

千絵美さん 林業は男性の仕事だと思われていますが、他県では女性の林業従事者もちらほらいるようです。プロセッサーやハーベスタといった高性能林業機械は女性も扱うことができます。最近は山ブームでもあるし、自然が好きな人に、山の仕事に興味を持ってもらえたらいいなと思います。

大祐さん 山の仕事の魅力は、やってみないと分からないんですけど、一度面白さが分かった人は離れられなくなります。体力仕事ですが、やってみたら本当に楽しいです。
フォワーダでの搬出作業 写真提供:(有)畠山造林
―大館北秋田地域の林業が、今後どのようになっていったらいいなと思いますか?
 
大祐さん 難しい質問きましたね!(笑) 林業成長産業化協議会のシステムは、「伐って→使って→植える」というサイクルの基礎を作るもので、とても良くできていると思います。小さい山を持っていて自分ではなかなか手入れできない人もいるので、県北の皆で手を組んでグループ化して補い合うことができたらいいのではないかと思います。そして、若い世代にもっともっと造林の魅力を発信していけたらと思います。
 
―ありがとうございました!
 
この記事を書いたライター 島田 真紀子(mamaplan所属)https://mamaplanodate.net/
有限会社無明舎出版勤務を経て、フリーライターとして雑誌やWEBの記事を執筆。
秋田県内を中心に、観光・食・子育て・スポーツ・話題のスポットなどについて発信しています。

―取材を終えて
 これまで山を守り、木を手入れしてきた人たちのおかげで、今、適齢期を迎えた木を伐採できるのだということ。そして、自分たちも後の人たちに良い山をバトンタッチしていきたいという強い思いが伝わってきました。「野菜はその年のうちに植えて収穫できるけど、木はスパンが長いから分かりづらいんですよね」と言う大祐さん。その分かりづらい部分を含め、林業の大切さや魅力をどんどん発信して、大館北秋田の山、日本の山は宝物なのだということを伝えていけたらいいなと思いました!

取材日:令和3年6月18日
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