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会員紹介

有限会社阿部林業
(有)阿部林業の下山具之さん(左)と阿部勝さん(右)
 
 大館市池内に事務所を持つ㈲阿部林業は、年間約1万5000立方メートルの木材を供給しています。木材生産の現場で働く8名の社員をまとめる現場監督・阿部勝さんと、フォレスターリーダーを取得し若手の指導に力を入れる下山具之さんにお話を伺いました。
 
―お二人の仕事の内容を教えてください。
 
阿部さん 私は現場監督として、人の配置や役割分担を決め、作業が止まることがないように仕組みを考えています。一つの現場は、大体4〜5ヶ月で一区切りとなります。
 最近は機械化が進んできて、一台で何役もできる高性能林業機械がとても役に立っています。以前は人力でチェーンソーを使って伐採から造材までを行っていましたが、今は、高性能林業機械でできるようになりました。また、ドローンを使って上空から写真を撮ることで、人が実際に行かなくても山の地形を見ることができたり、水害が起きている場所が分かったり、とても便利になりました。ICT化が進んだぶん、使いこなすための勉強はちょっと大変ですけど(笑)
下山さん 私は、昨年、現場の効率的な運営を行うために必要な知識・技術・技能を習得するフォレストリーダーの研修を受けました。これは、林業の経験がない人が入社したときに、怪我しないように安全に仕事ができるように指導するためのスキルです。現在は、多少経験のある人が入社してきているので、全く一から指導をする機会はまだないのですが、いずれこのスキルを生かせる時がくるのかなと思います。
 
―林業の仕事に就いたきっかけを教えてください。
 
阿部さん もともと林業の仕事をしていた父の影響で、「父と一緒に仕事してみたいな」と思ったのがこの業界に入ったきっかけです。入社して20年になります。
下山さん 私は中学の先輩である阿部さんに誘われて、入社しました。以前は別の会社で事務をしていたのですが、転職を考えていた時に阿部さんに相談したら「見に来い」と言われて。現場を見に行って、すぐ転職を決めました。入社して17年になります。
 
―仕事をする上で、工夫していることはありますか?
 
阿部さん 今、社員は全部で8名いて、20代が2人、30代1人、40代4人、50代1人なんですけど、「皆が仲良い」というのがうちの会社の特徴だと思います。年代が違っても遠慮せず、言いたいことを言い合える雰囲気がいいと思っています。
下山さん 自分たちが入社した頃は、20代の自分たちの上が50代で、間の年代の人がいなくて年齢の開きがあったというのもあって、今ほど自由に言える雰囲気ではなかったんです。だんだん変わってきて今みたいになっているのですが、このいい雰囲気を作っているのは、監督として現場をまとめている阿部さんの人柄によるところが大きいですね。皆が遠慮なく話せることで、仕事もスムーズに進んでいると思います。
 
―お二人を見ていると、和気あいあいとした雰囲気が伝わってきます! 続いて、林業のいいところを教えてください。
 
阿部さん 自然の中で作業するので、ストレスが少ないことです。現場での役割分担はありますが、基本的に自分の仕事を一人でこなす「個人仕事」がメインなので、マイペースにできるところが自分に合っていると思います。
下山さん この仕事は、朝早いけれど終わるのも早いので、家族と過ごす時間をたっぷり取れるのが良いところです。
 
―林業に対する思いを聞かせてください。
 
阿部さん 林業自体はマイナーな仕事だと思います。家具や木工品など、製品になったものを目にすることはあっても、丸太を見ることはあまりないし、林業の現場自体山の中なので、人の目に触れる仕事ではないんですよね。
下山さん ドイツみたいに、「なりたい職業の第3位」に選ばれるくらいメジャーな仕事だったら、日本の林業ももっと活発になるんでしょうね〜。
 
―日本は森が豊かな国なので、そうなったらいいですよね! では、お二人から、これから林業を目指す人たちへメッセージをお願いします。
 
阿部さん 林業は、家族に優しい仕事ですよ〜!
下山さん 夕方5時で仕事が終わって、それから保育園の迎えに行ったり部活の付き添いに行ったりできます。早く家に帰って、子どものことや家のことをできるのは、何よりいいことだと思います。うちは子ども4人いるんですよ。阿部さんのところも3人います。
 
―パパが家族との時間を大切にすることで、家族みんな幸せに過ごせるんでしょうね。
 
阿部さん・下山さん 照れ笑い
 
―今日はありがとうございました!
この記事を書いたライター 島田 真紀子(mamaplan所属)https://mamaplanodate.net/
有限会社無明舎出版勤務を経て、フリーライターとして雑誌やWEBの記事を執筆。
秋田県内を中心に、観光・食・子育て・スポーツ・話題のスポットなどについて発信しています。

―取材を終えて
 林業の仕事が好きで、家族と過ごす時間を大事にしているお二人の様子を見て、とても人間らしい生活を送っているのだなぁと感じました。林業は、自然が好きで、家族を大切に思う人にぴったりの職業の一つなのだと思います。知られる機会の少ない仕事ですが、森林の多い日本を守るとても大切な仕事でもあります。林業が「なりたい職業」上位に入る未来が、来たらいいなと思います!

取材日:令和3年7月21日
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